はじめに|なぜGraphQLを学ぶのか

僕が現職で開発しているシステムでは、長らく REST API を使ってきました。
RESTはとてもシンプルで分かりやすいのですが、実際の開発ではこんな課題に直面しました。
- 画面に表示するために「ユーザー情報」「投稿一覧」「コメント数」など、複数のAPIを呼び出す必要がある
- レスポンスが冗長で、使わないデータまで返ってくる
- フロントエンドとバックエンドで仕様調整が増え、開発がもたつく
正直、「もっとスッキリデータを取れたらな…」と感じる場面が何度もありました。
そんなときに出会ったのが GraphQL です。
最初は「なんだか難しそう」という印象でしたが、仕組みを理解すると「あの不満を解決できるのはこれか!」と腑に落ちました。
この記事では、初心者の方に向けて GraphQLとは何か?その仕組みと特徴 をわかりやすく整理していきます。
GraphQLとは?一言でいうと「必要なデータだけを取得する仕組み」
GraphQLの定義
GraphQLは、Facebook(現Meta)が2015年に公開したAPIのクエリ言語 です。
公式ドキュメントではこう説明されています。
GraphQL is an open‑source query language for APIs
(APIのためのオープンソースなクエリ言語)
つまりGraphQLは「APIを叩いて必要なデータを問い合わせるための言語」なんです。
REST APIとの違い
RESTは「エンドポイントごとにデータが決まっている」のが特徴です。
例えば /users/1
なら「ユーザー情報」しか返ってきません。
一方GraphQLでは「このユーザーの名前とメールアドレスだけ欲しい」といった指定ができ、欲しいデータを1回のリクエストで取得できる のが最大の特徴です。
GraphQLの基本の仕組み
スキーマ(Schema)とは?
GraphQLの世界は スキーマ から始まります。
スキーマは「どんなデータ型が存在して、どんな問い合わせができるか」を定義する設計図のようなものです。
type User {
id: ID!
name: String!
email: String!
}
type Query {
user(id: ID!): User
}
この例では「User型」と「Query型」を定義しています。
「ユーザーは id
, name
, email
を持つ」「idを指定するとUserを返す」というルールが明確になっています。
クエリ(Query)とは?
GraphQLでデータを取得するには クエリ を書きます。
query {
user(id: 1) {
name
email
}
}
このクエリは「id=1のユーザーの name
と email
を欲しい」と指定しています。
RESTなら「ユーザー情報を取得するAPI」と「メール情報を取得するAPI」で2回リクエストが必要になることもありますが、GraphQLなら まとめて1回で済む のが強みです。
レスポンスの形
上のクエリを実行すると、レスポンスはこう返ってきます。
{
"data": {
"user": {
"name": "Taro",
"email": "taro@example.com"
}
}
}
ポイントは クエリで書いた形そのまま 返ってくることです。
余計なデータがないので、とてもシンプル。
GraphQLのメリットとデメリット
メリット
- 必要なデータだけ取得できる(効率的)
- 1つのエンドポイントで完結できる
- モバイルや低速回線でも通信量を減らせる
- スキーマが型のような役割を果たすので、フロントエンドから仕様がわかりやすい
デメリット
- サーバー側でGraphQLを実装する必要がある
- 学習コストが高い(スキーマ設計、リゾルバ実装など)
- 小規模アプリだと「RESTで十分」なこともある
僕自身、「何これ便利!」と思う反面、「サーバー側の準備は確かに大変だな」と思いました。。
GraphQLの活用シーン

GraphQLは「複雑なデータをまとめて取得したい」ときに特に効果を発揮します。
- SNSのようにユーザー・投稿・コメントが入り混じる画面
- モバイルアプリの通信を効率化したいとき
- マイクロサービスでバラバラなデータをまとめて扱いたいとき
現代的なWebサービスの多くはこれらに当てはまるため、GraphQLは急速に普及しているわけです。
まとめ|GraphQLの仕組みを理解する最初の一歩に
今回は 「GraphQLとは何か?」を初心者向けに整理 しました。
- GraphQLは「APIのクエリ言語」で、欲しいデータだけを取得できる
- スキーマとクエリを理解すれば、仕組みが見えてくる
- RESTに比べて効率的だが、導入コストもある
僕自身、REST APIだけを使っていたときには「仕方ない」と思っていた不便さが、GraphQLを知ったことで一気に解消されました。
「なんで今GraphQLが注目されているのか?」の理由が少しでも伝われば嬉しいです。
次回は、実際に GraphQLのクエリを自分で書いてみる チュートリアルを紹介していきます!
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